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チェーホフがわからない。古本屋さんで見つけてなんとなく買っておいた『チェーホフ短篇集』とか、図書館で借りた『チェーホフ 短篇と手紙』を、最初はおもしろく読んでいた。けれど、数をかさねていくごとに少しずつ居心地が悪くなって、なんだかチェーホフ…

よく見もせずに「かため」の歯ブラシを買ってしまった。かたい。 堀江敏幸の『燃焼のための習作』を読んだ。『河岸忘日抄』に連なる長篇小説で、雨に閉ざされた探偵事務所を舞台とするワンシチュエーションものでありながら、これもまた『河岸忘日抄』とおな…

晴れ。ぞうとねことくまをベランダに出す。 檸檬シロップの底にたまった砂糖をスプーンでかき混ぜる。褐色なのはきび砂糖で仕込んだからだろう。炭酸水で割って飲むのを楽しみに混ぜる。 蕎麦を湯がいて昼食をすませ、ソファで『雲をつかむ話』を読む。多和…

買いもののついでに、河原町OPAにできたBOOKOFFへ寄ってみた。おもに文庫の105円コーナーを見てまわる。関西最大の売り場面積を謳うポスターがあったけど、この105円コーナーはあまり広いとは感じなかったな。壁一面のトレカコーナーとかがあったから、そう…

ダ・ヴィンチ6月号は「男と、本。」の特集。学生のころはたまに買っていたけれど、読む本の傾向が変わってここ数年手に取らずにいた。わたしも当たり前のように本を読む男が好きだ。 読書家の芸人として若林正恭が登場。ひねくれているのに素直というか、矛…

『姉の結婚』3巻を読んだ。今までそんなことなかったのに、いきなり歌い、踊りだしてびっくりした。 それにしても一途な男たちだ。前作『娚の一生』の海江田しかり、今作の真木しかり。勝手に惚れてくれるし、いくらひどいことを言ってもぐずぐずしても、絶…

川上弘美の『神様2011』を読んだ。深緑色のオビがまかれた、ハードカバーのすこし小さな美しい本。近所に越してきたくまに誘われて河原へ散歩に行く、ほのぼのとした温かみのある短篇『神様』が、福島の原発事故を受けて改稿された。 防護服、「あのこと」、…

文庫化されると知って、ようやく『1Q84』のBOOK2まで読んだ。ミステリ小説のような書きぶりで、思いのほかすいすいと読めた。村上春樹が書きそうな物語、とでもいおうか。いや、いままでの作品にないくらいピュアな恋愛小説かもしれない。年号をもじったタイ…

村上春樹の『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』を読む。第一集にあたる『村上ラヂオ』は文庫で持っているけれど、せっかくなので単行本も買うことにした。(大人になるってこういうことだ)奥付は2001年6月20日の二刷り。 装丁はどちらも葛西薫。この10年…

多和田葉子の『文字移植』を読む。『アルファベットの傷口』を改題したもので、ある小説を翻訳するためにカナリア諸島を訪れた「わたし」の物語が展開されていく。 において、約、九割、犠牲者の、ほとんど、いつも、地面に、横たわる者、としての、必死で持…

群像9月号に掲載された川上未映子の『すべて真夜中の恋人たち』を読んだ。『乳と卵』や『ヘヴン』、雑誌に寄せられたエッセイ。気がつき気がむいたものは読んできたけれど、彼女が描く物語の登場人物はほんとうによくしゃべるしよく泣く。他人とかかわりあう…

鉱物、地盤竜の化石、SIRIUSのナンバー入り豆電球、冷たいひょうたんゼリー。物語に登場するいちいちに心うばわれる。コマツシンヤの『睡沌氣候』、読みました。ほんとう、いいなあ。いい買いものした。箱に詰めたお気に入りのものたちが語る、静かな夜の夢…

炭酸飲料に含まれる砂糖の量だとか、正しい検温の仕方だとか。保健室の前に掲示されているカラー刷りの健康新聞を、身体測定のあいまや注射へとならぶ列のなかからながめていた。モノに恋愛感情を抱く人がいるということを知ったのも、そんなぼんやりとした…

だいいち表紙が可愛らしい。花の咲いた緑の丘で、巻き毛のルイーゼとおさげのロッテが手をつないで笑っている。遠くにはみずうみとちいさな集落、あれがビュールゼー湖のほとりのゼービュール村だろう。村には少女たちが休暇中をすごす子どもの家があり、ル…

仕事帰りに図書館へ寄る。閉館まで悩んで、「タンタンの冒険」シリーズ2冊と、ケストナーの『ふたりのロッテ』、岸本佐知子編訳の『変愛小説集』を借りた。 福音館書店から全24作品が刊行されている「タンタンの冒険」シリーズ。ベルギーの新聞社で働いてい…

カルチャー誌『リバティーンズ』をリニューアルした新雑誌で、今月15日に創刊準備号が刊行されたワンテーマ・マガジン『ケトル』。フリーペーパー『LOVE書店!』に雰囲気がそっくりだなと思っていたら、同じ編集人だった。嶋浩一郎。本屋大賞の立ち上げにも…

帰宅後、テレビをつけてはじめて大変なことになっていると知った。東北地方太平洋沖地震から1週間。想像力を失わないように、できることを細々と続けていこうと思う。 「私たち誰かをちゃんと愛してみたい」というオビの文句が気になって、谷川史子の『他人…

おそろしかったことは、大人になった今でもよく覚えている。たとえば『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマ曲、家で飼っていた出目金がほかの金魚の尾ひれを食べてしまったこと、骸骨に追いかけられる夢、など。 小学館から刊行された藤子・F・不二雄大全…

素手でかきまわす空気はぬるく遠くけぶっていたのに、ここ2、3日の冷え込みようはどうだろう。日向を探す手のひらが、もじもじと落ち着かない。 BOOKOFFのネットストアで見つけた小山清の『落穂拾ひ・聖アンデルセン』が届く。昭和30年発行のものを底本とし…

月刊予約絵本『こどものとも年少版』2月号の「ちいさいおきゃくさん」がとても可愛らしい。静かな午後。猫がお昼寝をしていると、ちいさく開いたドアからちいさなリスがやってきて――。 リスを追う猫を追ってページをめくると、トイレ、お風呂場、台所、子ど…