チェーホフがわからない。古本屋さんで見つけてなんとなく買っておいた『チェーホフ短篇集』とか、図書館で借りた『チェーホフ 短篇と手紙』を、最初はおもしろく読んでいた。けれど、数をかさねていくごとに少しずつ居心地が悪くなって、なんだかチェーホフこの野郎である。女性を見下しているのが伝わってくるのだ。可愛くて愚かな女たち。わたしが女だから余計、腹が立つのだろう。
いよいよ「嫌い」に値する野郎かと『カシタンカ・ねむい 他七篇』をめくって「嫁入り支度」を確かめると、あれ、これは好きかもしれん、と思う。まあ、愚かであることにはかわりないのだけど……わからない。しかも表紙の写真ちょっと可愛いし。なんだよ、チェーホフのばか!
チェーホフ短篇集 / 福武文庫、チェーホフ 短篇と手紙 / みすず書房、カシタンカ・ねむい 他七篇 / 岩波文庫